おばさん
「おばさん」と呼ばれてムッとしたことはないだろうか?
男性の諸兄はもし「おばさん」と呼ばれたとしたら、悩むこと必定である。
尤も現況、LGBTの問題があるので、一概に女=おばさん、男=おじさんという分類は軽々にできないが。
それにしても、物書きにとっては難しい世の中になったものだ。
マイノリティーの人権を守るあまりに、マジョリティーの人権が脅かされる可能性があることを失念してはならない。
人は皆、その能力において平等であるべきだ。
さて、今回のイタリア旅行
まず義母が企画した。
そこにすがちゃんが乗っかった。
すがちゃん
義母の親友にして、1924年生まれ。
当年とって100歳である。
イタリアの旅は、今から20年前に行ったので、すがちゃんはこの時80歳であった。
義母から電話がくる。
「Anguさん、海外慣れとるやろ。今度なあ、イタリアに行くんよ。ほら、先月、パリに行ってたでしょう。その前はサンクトペテルブルグ、ウィーンやったかな?あれ?バルセロナ?」
なんなの?
海外旅行自慢?
そういえば、お父さんの七回忌の時
「お父さんが急に死んでびっくりしたもんやけど、お父さんがいたらこんなに海外旅行には行かれんかったねえ。横のものを縦にもようせんかった人やから。はように死んでくれたんで、こんなに海外に行くことができて幸せや。お父さんからのプレゼントやねえ(笑)」
と言っていたな。
この立ち直りの早さ。
切り替えの素早さ。
割り切り。
これが元気で長生きの秘訣である。
あとこうも言っていたな。
「ゆき(お母さんが飼っていた柴犬である)が死んだ時は本当に辛かったんよ。もうねえ、お父さんが死んだ時よりよっぽど悲しかったんよ。」
義父は、国から勲章を頂いた偉人だが、柴犬に負けた。
トドメに、義父の四十九日の時に義母が当方に見せたもの。
「Anguさん、これ見よって。この前、神社に行ったんよ。そん時に引いた御神籤なんよ。ここ、ここ見て。『縁談、まとまる。よろし』って書いてあるんよ。独身になったからまた、結婚できるやろうねえ。私もまだまだ、捨てたもんやない。」
当方はその御神籤を握りしめたまま、
『これから法要のために坊さんが来るだよね。お父さん、死んで49日かあ。漸く彼岸に行けるのですね。お父さん、安心してください。お母さんはすでに再婚を考えています。頬を染めて嬉しそうです♪安心して成仏してください。南無大師遍照金剛』
と心の中で念仏をただひたすら唱えていた。
夫を突然、亡くした義母
ショックのあまり、生きる気力をなくすのではないか?
連れ合いに、義母と暮らすことまで提案した当方であったが、無用な心配であった。
譬え夫を亡くしても、乙女ゴゴロまでは無くさない。
見た目はおばさんでも、心はあくまでも乙女なのである。
このことも長生きの秘訣である。
さて、すがちゃんの人生が気になるところだが、焦ってはいけない。
100歳の人生を語るには、一日二日のブログでは無理である。
諸兄の皆様がよだれを垂らして待っておられる姿が目に浮かぶ。
今日は春の陽気になるようだ。
当家のチューリップもだいぶ大きくなってきた。
バラも新芽を抱いている。
それでは今日も
「命!燃やしていますか?」